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2021.08.11「地質調査が私たちの生活に与える影響とは?地質調査の仕事内容や目的について詳しく解説します」

「地質調査が私たちの生活に与える影響とは?地質調査の仕事内容や目的について詳しく解説します」

「地質調査の仕事内容が知りたい」
「地質調査が私たちの生活に与える影響が知りたい」

地質調査に興味を持っている方の中には、上記のような疑問を持っている方も少なくありません。地質調査は地盤の強度や土の性質などの調査をする非常に重要な仕事ではありますが、調査内容が私たちの生活にどういった影響を与えているかはあまり知られていないためです。

では、地質調査が私たちにどういった影響を与えているのでしょうか?
土砂災害や地震の危険がある地域の把握や、大規模建築の安全性を確かめることに活用されており、私たちが安心した生活を送れる土台になってくれています。
それは地質調査という仕事が無ければ、今の平和な日本は無いと言えるほどです。

そこで、この記事では非常に重要な仕事である地質調査の実務内容や目的、地質調査が与える影響について、詳しく解説していきます。
地質調査の仕事に興味を持っている方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

地質調査の実務の説明

地質調査の実務内容は非常に多岐にわたります。
具体的には、以下のような実務をこなさなければなりません。

・情報収集
・現地調査
・物理探査
・採取したデータの分析
・調査内容を資料にまとめる
・報告書を作成する

それぞれについて詳しく解説します。

■情報収集

調査をする前に地質調査を行う土地の情報を集めます。情報収集で使用する主な資料は以下です。

・地形図
・地盤図
・空中写真などの地図
・写真
・調査報告書
・工事記録
・災害記録
・地質文献や古地図

上記のように、非常に数多くの資料を集めて、多角的に地盤の状況などを把握します。
その情報と実際に土地を確認した情報を組み合わせて分析することで、はじめて正確な地質調査が可能となるのです。

■現地調査

現地調査とは、実際に現地を歩いて地形や転石などの確認や計測をすることです。調査する場所によっては山の中に入っていく必要があるため、体力のいる調査になります。

なお、現地調査は現地をよく観察して、最終的には調査地域の正確な地質図を作成する必要があるため、知識と経験も非常に重要です。

■物理探査

物理探査とは、主に目で確認出来ない場所を確認するための調査です。この物理探査で行われる代表的な調査が「ボーリング調査」になります。

なお、ボーリング調査とは地面を掘り進めながら土を採取して、採取した土や掘る際に必要な力を分析することで、土の密度や地盤の種類、地盤の強度、地盤の液状化の状況などを調べる調査のことです。

この調査で地盤を調べることで、液状化する危険性や地すべりが起きる可能性があるのか、地盤が大規模な建物に耐えるだけの強度があるのかを知ることが出来ます。

ちなみに、現地調査では、必要に応じてボーリング調査以外にも各種計測機器を使用して地盤の性質を計測することで、より正確な調査が可能です。

■採取したデータの分析

ボーリング調査などで採取したデータを基に地盤や地質の分析を行います。この際に、個々のデータの整合性、現地調査や事前の調査で調べた内容とのズレなどを一つ一つ確認していくのです。

また、分析したデータを基に、建築予定の構造物の設計時に必要な数値などを割り出して問題ないのかも確認します。この際に、問題がある場所について後の作業で詳細に報告する必要があるため、問題の根拠となるデータを集めておくことが重要になります。

■調査内容を資料にまとめる

分析したデータを整理して、調査目的に応じて地質断面図や地質柱状図などの図面や書類を作成します。

この分析したデータを基に、施工主や設計事務所が設計を行ったり設計した内容を修正するなどをして、より安全性の高い建築物が建築されるため分かり易くまとめることが重要です。

■報告書を作成する

データの解析が終了してデータの整理が完了したら、報告書を作成します。この報告書は学術的なものではなく依頼主に対する報告書になるため、依頼主にとって必要な情報がわかりやすく、簡潔に書かれていることが重要です。

地質調査の目的

地質調査とは土地の地質や土質、地下水、基礎地盤などの形状や質、量を調査するもので、目的別に以下の3つに分けることが出来ます。

・学術分野の目的
・資源開発の目的
・建設事業の目的

それぞれについて説明します。

■学術分野の目的

学術分野の目的とは、地質学といった学問のために行う調査のことです。国や大学といった研究機関から依頼をされて行うため、数はあまり多くありません。そのため、企業によっては、研究のための調査は経験がない場合もあります。

ちなみに、地質学以外なら、地震の予知などに地質調査のデータは利用されることが多いです。

■資源開発の目的

資源開発の目的の地質調査とは、好物資源や石炭、石油などの地下資源を開発するための調査のことです。

1960年ごろまでは石炭などの調査を活発に行われており、現在では地熱発電の調査で利用されています。案件の数は非常に少なく調査したことのある会社も珍しいです。

■建設事業の目的

建設事業の目的の地質調査とは、大規模マンションの建設やトンネルの建設、住宅の建設のために行う調査のことです。地盤の強度の調査や液状化調査などの建築的な調査だけでなく、土壌汚染などの環境的な調査を行い、建築物の安全性や災害の危険性を調査します。

現在日本で行われている9割の地質調査が建設事業を目的とした調査で、地質調査を行っているほとんどの会社が受注している仕事です。

地質調査が生活に与える影響

近年地質調査の目的の中で最も需要が高まっているのが、災害の危険性を把握する地質調査です。2011年の東日本大震災や2018年の北海道地震で液状化現象が発生したことや、2021年7月に静岡県熱海市で起こった土砂崩れなどにより、防災面の調査の重要性が認知されてきています。

地質調査を行うことで災害の危険性を把握することができ、ハザードマップの作成や災害時の早期避難地域の選定など、災害が起きた際により安全に避難するための情報を作成することが出来るためです。

とはいえ、地質調査の需要は災害の危険性を把握することだけではありません。
例えば、トンネルなどの公共インフラの老朽化によって、天井の崩落などの危険性が指摘されており、こういったインフラの修繕や建て直しのために地質調査は利用されています。

このように、地質調査は人が生活していく中にある危険性を把握して、より安全な生活を送れるように活用されている非常に重要な仕事です。

まとめ

地質調査は災害の危険性の把握や建物の安全性を保つために非常に重要な仕事で、私たちが安心して暮らせるように多くの場所で行われています。そのため、社会的貢献度の高いおすすめの仕事のひとつです。

とはいえ、認知度が高く無いため具体的な仕事内容などがわからず、不安な気持ちを持つ方も少なくありません。

そのため、この記事では地質調査の実務内容や目的、地質調査が与える影響について解説してきました。

地質調査の仕事に就くか検討する際の参考にしてみてください。