2023.12.07「【未経験者必見!!】地質調査技士とは?ボーリング工事や地盤調査についてわかりやすく解説」
近年、日本で大規模な災害が頻繁に起こっている背景から、「地質調査技士」に注目が集まっています。そのため、「仕事内容は?」や「地質将来性はある?」などの疑問を持っている方は珍しくありません。
では、地質調査技士とはどういった仕事なのでしょうか?
地質調査技士は地盤などを調査して、建設する建物の安全性を確認する非常に重要な仕事です。
先述したとおり、近年の日本では土砂災害などの自然災害が頻繁に起きているため、防災面から需要が高まっています。
しかし、一般的にあまり知られていないので、将来性に不安を感じる人も多いです。
そこで、この記事では地質調査技士の仕事内容や将来性について分かりやすく解説していきます。
地質調査技士の仕事に興味がある方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
地盤調査とは?
地質調査技士が行う代表的な仕事に地盤調査があります。主に住宅やビルなど建物を建築する際に行うことが多い調査です。
この調査で具体的に調べる内容は以下になります。
1. 地盤が切土や埋め立て地など人口的に作られた土地であるかを確認する
2. 地盤の強度を確認する
3. 地盤の支持力を確認する
4. 土質や土層を把握する
5. 地下水位を把握する
6. 液状化の状態を確認する
上記の内容をボーリング調査やスウェーデン式サウンディング試験などを利用して調査を行います。
■ボーリング工事とは?
ボーリング工事は、建設プロジェクトの前に実施される重要な地盤調査の手法のひとつです。
特殊な掘削機器を使用して地面を掘り進めながら、深さや地層に応じた土のサンプルを採取します。
ボーリング調査により、地盤の強度や土質、地盤種類などの詳細な情報を得ることが可能です。
また、ボーリング工事は、地下水位の状況や土壌の化学的性質、過去の地質変動の痕跡など、目で見ることができない地下の状況を詳細に把握することもできます。
このため、建造物の設計において安全性や耐久性の評価、地盤改良の必要性の判断するために実施されます。
このように、ボーリング工事は建設計画の成功と安全性を保証するために不可欠な工程であり、正確で詳細な地盤データを提供することで、リスクを最小限に抑え、効果的な建設計画を策定できます。
未経験におすすめしたい地質調査技士とは
地質調査技士とは、地盤調査やボーリング調査などを行って、地盤の強さや土質を計測する技術者のことです。
土砂災害や地震などの自然災害が増えている日本では、防災面から需要が増している人材になります。
ただし、地質調査技士になるためには、資格試験に合格する必要があるため、誰でもなれるわけではありません。
地質調査技士になるためには、相応の努力が必要です。
地質調査技士の主な仕事内容
地質調査技士の主な仕事は以下になります。
・ 建設現場の地盤調査や地質調査
・ 地震や土砂災害などを対象とする調査
・ トンネルや道路などのインフラ建造物の維持管理業務
・ 土壌の状況を把握するための調査
上記のように単なる調査業務だけでなく、災害の危険性の把握や危険性に対する対策の提案なども地質調査技士の仕事です。
とはいえ、会社によって主に行っている業務は異なるため、事前に志望している会社の業務内容をよく確認するようにしてください。
■建設現場の地盤調査や地質調査
建設プロジェクトの初期段階で重要な要素となるのが地盤調査と地質調査です。
これらの調査によって、建設予定地の地質の特性や土壌の耐久性、地下水の状態などを把握できます。
そして、上記の情報を把握することで建設計画の安全性を評価することが可能です。
このように、地質調査を実施することで地盤改良の必要性などを事前に把握できるため、必要に応じて計画を修正できます。
■地震や土砂災害などを対象とする調査
地震や土砂災害などの自然災害に対する調査は、リスクを予測し、適切な対策を講じるために不可欠です。
過去の災害データや地質学的特徴、地形などを分析し、特定の地域がどの程度のリスクにさらされているのかを把握します。
また、これらの地質調査データは災害時の被害想定や避難計画の策定にも利用することが可能です。
災害による人的、物的被害の最小化のためにも、必要不可欠な調査と言えるでしょう。
■トンネルや道路などのインフラ建造物の維持管理業務
トンネル、道路、橋梁などのインフラ建造物の維持管理においても、地質調査は重要な役割を果たしています。
これらの構造物が安全に機能し続けるためには、定期的な地質調査により土地の変動や地盤の安定性を監視することが必要です。
例えば、トンネルの場合、地盤の動きや水の浸透によって生じる構造的な問題を早期に発見できれば、適切な補修を行うことができます。
また、道路や橋梁では、土壌の圧縮性や道路下の空洞がないかなどを確認することで、地盤沈下や崩壊のリスクを把握することが可能です。
このように、地質調査による調査結果は、維持管理計画の策定や、必要に応じた補修工事の実施計画に活用されます。
■土壌の状況を把握するための調査
土壌調査は、土壌の種類、質感、水分量、化学的組成などを理解するために行われます。
調査を行うことで、土壌の栄養状態や汚染の有無を把握し、農業に利用できるのか、判断することが可能です。
このように、地質調査で土壌サンプル採取し分析することで、地域の環境保全計画や土地利用計画の策定に貢献できます。
地質調査技士の仕事の流れ
地質調査技士は現場で調査するだけの仕事ではありません。事前の調査や報告書といった事務作業もしなくてはいけません。
具体的には以下の手順で仕事を行っていきます。
1. 地質調査を実施する前に地形や地盤図などの資料や周辺のエリアについての資料を集めて分析する
2. 集めた情報を基に現地を歩いて情報の整合性などを確認する
3. 物理探査を行って地質を調べる
4. ボーリング工事が必要な場合は調査日程を決めて調査計画を立てる
5. ボーリング工事を行って地盤のデータやサンプルを採取する
6. 調べたデータから災害の危険性や建造物を立てる際の設計に問題がないかなどを確認する
7. 分析したデータを資料にまとめて報告書を作成する
上記の手順はあくまで一例です。会社によって行う作業は変わるので、あくまで参考程度に考えるようにしてください。
■1. 地質調査を実施する前に地形や地盤図などの資料や周辺のエリアについての資料を集めて分析する
地質調査の前段階として、まず地形や地盤図、地域の歴史的な地質データなどの既存資料を集め、詳細に分析します。
この過程で以下の情報を収集します。
地域の地質的特徴
土壌の種類
過去に記録された地震や土砂崩れなどの自然災害のデータ
上記の情報は調査計画を策定するための基礎データとして活用することが可能です。
■2. 集めた情報を基に現地を歩いて情報の整合性などを確認する
収集した資料と実際の地形や地盤の状況を照らし合わせるために現地調査を実施します。
この現地歩行調査により、資料の正確性や現地の特異性を確認し、必要に応じて追加の情報収集を行います。
現地で集めた情報は、後続の物理探査やボーリング工事の計画にも重要な影響を与えるため、詳細な観察と記録が必要です。
■3. 物理探査を行って地質を調べる
物理探査は、地盤の構造や特性を非破壊的に調査する手法です。
音波や電磁波を利用して地下の構造を探ることで、地盤の硬さや亀裂の有無、水分含有量などを把握します。
この調査により、地下の詳細な地質状態が把握でき、後続のボーリング工事や建設計画の基礎データとして使用することが可能です。
■4. ボーリング工事が必要な場合は調査日程を決めて調査計画を立てる
物理探査の結果、詳細な地質データが必要と判断されると、ボーリング工事が必要になる場合があります。
正確な情報を得るために、地下のサンプルを直接取得する必要があるためです。
なお、ボーリング工事を行うには、以下の点に留意した綿密な調査計画が必要になります。
・地質学的な目的と要件に考慮した上で、最も適した調査地点
・現場の条件や調査の範囲に応じた機材の選択や人員配置計画
・作業員の安全はもちろんのこと、地域住民や環境に対するリスクも十分に考慮した安全対策
・掘削によって生じる可能性のある振動や汚染への対策
上記を留意しながら調査計画を策定することで、ボーリング工事を効率的かつ安全に実施し、信頼性の高い地質データを収集することができます。
■5. ボーリング工事を行って地盤のデータやサンプルを採取する
ボーリング工事では、地下深くの土壌や岩石のサンプルを採取します。
これらのサンプルから、地盤の強度、化学的特性、土層の厚さなどを分析することで、地質の詳細な情報を得ることが可能です。
ちなみに、サンプルから得たデータは、将来的な建設計画の基礎や地盤改良の必要性を判断するために活用します。
■6. 調べたデータから災害の危険性や建造物を立てる際の設計に問題がないかなどを確認する
収集したデータとサンプル分析の結果を基に、建設予定地の災害リスクや地盤の適性を確認します。
これらは地震や土砂崩れなどの自然災害の危険性、建造物の設計に必要な地盤の耐久性や安定性を判断するために重要な確認です。
なお、建設計画に必要な地盤改良や特別な設計対策の必要性判断にも活用されます。
■7. 分析したデータを資料にまとめて報告書を作成する
最終的に、調査結果と分析データを総合的にまとめ、詳細な報告書を作成します。
報告書には、以下の内容を記載します。
調査結果の概要
分析データ
リスク評価
推奨される地盤改良方法
建設計画の提案
この報告書は、建設計画の意思決定過程や、関連する規制当局への提出資料として利用されます。
地質調査技士に向いている人
地質調査技士に向いている人は、コミュニケーション能力が高い人です。
地質調査技士は幅広い業務を行わなくてはならず、建設現場で多くの業種や職種の人と関わるためです。 関わる多くの人と良好な関係を作ることで、正確でスムーズな調査は行えるようになります。
このため、コミュニケーション能力は地質調査技士に必要不可欠な能力です。
求職者に地質調査技士を勧める理由
求職者に地質調査技士をおすすめする理由は、社会貢献ができる仕事だからです。
地質調査技士は建物の安全を確保するだけでなく、災害の危険性の把握などを行う非常に重要な仕事になります。
例えば、あらかじめ調査を行っておいて危険性を周知しておくことで、災害が起きた際に周辺住民が迅速に避難することが可能です。
このように、社会に貢献できるため、給料以外にもやりがいを感じることが出来ます。
地質調査技士の将来性
地質調査技士は非常に将来性のある仕事になります。その理由は大雨による土砂災害や地震など自然災害による被害が多く発生しているためです。
特に2021年7月に発生した熱海市の土砂災害によって、防災面での地質調査の重要性が増しています。
さらに、トンネルなどのインフラの多くが建築されてから年月が経過して老朽化しているものが多いため、こういった建造物の修繕や建て直しなどの維持管理での地質調査の需要も高まっている状況です。
このことから、地質調査技士は今後さらに活躍が期待される仕事であると言えます。
まとめ
地質調査技士は防災や建造物の安全を確認するために重要な仕事です。そのため、自然災害が多い日本では重要性が高まっており、今後さらに需要が増えることが見込まれます。
このことから、地質調査技士は就職を考えている方におすすめしたい仕事のひとつです。しかし、あまり認知されていない仕事であるため、不安を感じている人も少なくありません。
このため、この記事では地質調査技士の仕事内容や将来性について未経験者にもわかるように解説してきました。
地質調査技士に興味がある方はこの記事を参考にしてください。