2024.06.10ボーリング調査の全貌!成功へのポイント解説
建設プロジェクトを進める上で、地盤の状態を正確に把握することは不可欠です。しかし、地盤の強さや特性をどのように調査すればいいのか、疑問に思う方も多いでしょう。 地質調査の一種であるボーリング調査は、建物の安全性や耐久性を確保する上で重要なプロセスです。ボーリング調査を怠ると、将来的に建物の沈下や構造的な問題が発生するリスクが高まります。 本記事では、ボーリング調査の概要、具体的な手法や得られるデータ、そして調査が必要となる具体的なケースを詳しく解説します。ボーリング調査を正しく理解し、適切な調査を行うことで、建設プロジェクトの成功と安全を確保できるでしょう。
ボーリング調査とは?
ボーリング調査とは、地盤の特性を把握するための地質調査の主な方法です。この調査では、ボーリングロッドと呼ばれる鋼管を地面に打ち込み、土壌や岩盤をサンプルとして収集します。ボーリング調査によって、地盤の強さや構成、地下水位を詳細に把握できます。 標準貫入試験(SPT)は、代表的なボーリング調査の手法で、63.5kgの重りを76cmの高さから落とし、貫入度を測定して地盤の強さを評価します。標準貫入試験で得られるN値は、建物の基礎設計において重要な指標です。 ボーリング調査は、中規模から大規模な建物の設計・施工時に特に重要です。地盤の強さや液状化のリスクを評価し、安全な建設計画を策定するための基礎データを提供します。また、地層の構成や地下水位の情報は、地盤沈下や安定性の予測にも役立ちます。
関連記事はこちら↓
地質調査・ボーリング調査とは?千葉県の専門業者が徹底解説
https://step-chousa.com/news/303/
ボーリング調査で何がわかる?
ボーリング調査によって、地盤の特性を詳細に理解するための様々なデータが得られます。主に以下の項目について調査します。
項目 |
説明 |
地層境界の深さ |
地層境界の深さは、地表からの地層の境界部分の深度を示します。建物の基礎をどの深さまで設置する必要があるかがわかります。 |
N値 |
N値は、地盤の強さを示す数値です。標準貫入試験によって得られるもので、63.5kgの重りを76cmの高さから自由落下させ、30cm貫入するために必要な打撃回数を表します。N値が高いほど、強固な地盤であることを示します。 |
地下水位 |
地下水位の確認も行います。地下水位は地盤の安定性に影響を与えるため、建物の設計や施工において重要な情報となります。地下水位は季節や降雨量によって変動するため、長期的な観察が必要です。 |
土の密度と土質 |
土の密度は、単位体積あたりの土の重量を示し、地盤の締まり具合を確認するための指標です。また、土質は、地盤が砂質土、粘土、シルトなどどのような成分で構成されているかを示します。 |
地盤の液状化の度合い |
液状化現象は、地震の揺れなどが生じた場合に地盤が液状化し、建物の沈下や倒壊を引き起こす現象です。ボーリング調査は、地盤が液状する可能性を評価し、適切な対策を講じるための情報を得ることができます。 |
地盤の弾性係数 |
弾性係数は、地盤の変形しやすさを示す数値で、主に杭の設計に利用されます。地盤がどれだけ変形するかを把握することで、建物の設計におけるリスクを低減することができます。 |
上記の表をボーリング調査をする際の参考にしてください。
ボーリング調査っていつ必要になる?
ボーリング調査は、建設時や地盤の安全性を評価する上で大事な役割を果たします。以下に、具体的な状況別に必要となるケースを詳しく解説します。
新しく建設する時
新しく建物を建設する際、地盤の強さや安定性を確認するためにボーリング調査が不可欠です。地盤が建物の重量に耐えられなければ、将来的に沈下や傾斜が発生するリスクがあります。調査を通じて地層の構成や地下水位を詳細に分析し、基礎設計に必要なデータを収集します。
建て替える時
既にある建物の建て替え時もボーリング調査が必要です。以前の建物が建てられた時の地盤状態と現在の状態が異なる場合があるため、再度確認が必要になります。特に、新しい建物が以前より大きい場合や構造が異なる場合、地盤の再評価が不可欠です。
土木工事プロジェクト
トンネルや橋の建設などの大規模な土木工事では、地質条件を詳細に把握するためにボーリング調査が求められます。地盤の強さ、地層の厚さ、地下水の状況などを調査し、安全で効率的な工事計画を立てるためのデータを提供します。
土壌汚染調査
土壌汚染があるかどうかを確認する際にもボーリング調査が行われます。地盤から採取したサンプルを分析し、有害物質の存在を確認します。特に土地の売買や開発において、土壌汚染のリスクを評価し、適切な対策を講じるために必要です。
地盤改良が必要となる場合
地盤が軟弱である場合や、液状化のリスクが高い場合には、地盤改良が必要です。地盤の特性を詳しく調べるための方法としてボーリング調査が行われます。適切な改良方法を選定するためのデータを取得します。
関連記事はこちら↓
地質調査の調査目的とは?調査方法の種類も解説
https://step-chousa.com/news/414/
ボーリング調査の種類は?
ボーリング調査は、地盤の特性を評価するための地質調査の一種であり、目的に応じて様々な手法が用いられます。以下に代表的なボーリング調査を紹介します。
標準貫入試験
標準貫入試験(SPT)は、ボーリング調査における基本的な方法で、地盤の強さを測定します。63.5kgのハンマーを76cmの高さから落とし、試験用サンプラーが30cm貫入するまでの打撃回数を計測します。この試験により、地盤の強さを示す指標であるN値を算出し、地盤の特性の評価が可能です。
簡易揚水試験
簡易揚水試験は、地盤内の透水性を評価するための方法です。地下水をボーリング孔から汲み上げ、水位の変動を観察します。地すべり地域や地下水位の高い場所での地盤調査に適しており、揚水量と回復水位のデータを基に透水係数を算出します。
孔内水平載荷試験
孔内水平載荷試験は、地盤の変形特性を評価する試験です。測定装置をボーリング孔内に設置し、内壁に一定の圧力をかけて地盤の変形と反力を測定します。地盤の変形係数や降伏圧力などを評価し、構造物の設計に必要なデータを取得します。
現場透水試験
現場透水試験は、地盤の透水性を現地で直接測定する方法です。水をボーリング孔に注入し、水位の変動を観察します。透水係数を算出するために、回復過程を非定常法で測定することが一般的です。地盤の水の流れを把握するための重要な試験です。
土質試験
土質試験は、掘削した土壌サンプルの物理的および化学的性質を分析する試験です。含水比、粒度分布、密度などを測定し、地盤の性質を評価します。土質試験により、液状化の可能性や地盤の沈下予測など、構造物の設計に必要な情報を提供します。
土壌汚染調査
土壌汚染調査は、地盤の中に存在する有害物質を確認するための試験です。重金属や有機化合物などの汚染物質が含まれているかを分析します。環境保護や安全な土地利用のために不可欠な調査であり、法的要件を満たす上でも重要です。
ボーリング調査に関する相談やよくある質問
ボーリング調査を行う際には、様々な疑問や不安が生じることが一般的です。ここでは、よくある質問と回答をまとめました。
ボーリング調査の費用はどのくらいかかりますか?
調査費用は、地盤の状態や深さ、範囲によって異なります。一般的な戸建住宅の場合、調査費用の相場は数十万円程度です。しかし、マンションなどの大規模な建物では、より多くのボーリングが必要となるため、費用も高額になります。具体的な費用については、詳細な見積もりを業者に依頼して確認してください。
調査にはどのくらいの時間がかかりますか?
ボーリング調査の期間は、一般的には1日から数日程度です。ただし、土地が広い場合や地盤が極端に硬い場合には、さらに時間がかかることがあります。事前に調査会社とスケジュールを確認しておきましょう。
地盤改良工事は必要ですか?
調査結果によっては、地盤改良工事が必要になることがあります。地盤の強さが不十分な場合、建物の安全性が確保されていない可能性があるためです。改良工事の費用は、土地の広さや改良の範囲によって異なりますが、一般的な住宅の場合、数十万~百万円程度が目安です。
見積もりを取る際のポイントは何ですか?
調査を依頼する前に、複数の地質調査会社から見積もりを取ることが重要です。調査内容や費用を比較し、信頼できる会社を選ぶ必要があります。見積もりには、調査の詳細や費用の内訳が明確に記載されていることを確認しましょう。
関連記事はこちら↓
地盤調査のプロが教える!ボーリングとサウンディングの違い
https://step-chousa.com/news/571/
まとめ
地質調査の一種であるボーリング調査は、地盤の特性を詳細に把握するための重要なプロセスです。本記事で紹介したように、標準貫入試験を始めとする様々な調査手法を用いて、地盤の強さや構成、地下水位、土質の特性を評価します。 ボーリング調査によって建設時の安全性と効率性を確保し、将来的な問題を未然に防ぐことができます。建物の新築や既にある建物の建て替え、大規模な土木工事、土壌汚染の調査など、様々な場面でボーリング調査が必要となります。適切な調査を行うことで、建設プロジェクトの成功と安全を確保できるのです。