2024.04.02地質調査で実施するスクリューウエイト貫入試験とは?
スクリューウエイト貫入試験とは、一般的な地盤調査の方法のことで、SWS試験やSS試験と呼ばれています。
スクリューウエイト貫入試験は住宅メーカーを中心に広く利用されている地質調査の試験方法です。この貫入試験を行うことによって地盤に問題がないかを調べられます。
しかし、スクリューウエイト貫入試験の他にも地盤調査試験があるので、どんな違いがあるのか知りたい人も多いのではないでしょうか。
それでは、スクリューウエイト貫入試験とは何か、他の地盤調査試験と何が違うのか、スクリューウエイト貫入試験が必要なときやメリットについて解説します。
地質調査を検討している方は参考にしてみてください。
スクリューウェイト貫入試験とは
スクリューウエイト貫入試験は住宅を建築する際に実施されている一般的な地盤調査方法の一つです。
地盤にロッドと呼ばれる鉄の棒を地面に垂直になるように回転させながら突き刺し、半回転数に応じて地盤の状態を調査します。
簡単に言えば、もしもロッドがスムーズに地面に突き刺さるようであれば、それだけ柔らかいので地盤が弱いと判断することが可能です。
逆にロッドが沈みにくいと、それだけ硬いので地盤が固いと判断できるでしょう。
このように、スクリューウエイト貫入試験によるロッドの沈みやすさで地盤の固さを判断していきます。
ちなみに、一見すると何も問題がない土地のように感じるかもしれませんが、実は地盤に問題が隠されているケースが数多くあります。
もしも地盤の問題を見抜けずに住宅を建ててしまった場合、地震などのさまざまな要因によって地盤が崩れたり変形したりしてしまうと住宅が倒壊する恐れがあるでしょう。
そのような事態を防ぐために、スクリューウエイト貫入試験を行って地盤を把握することが重要です。
他の地質調査試験との違いについて
地盤を調査する方法はスクリューウエイト貫入試験だけではありません。
それぞれ特徴が違うため、他の調査方法も把握しておきましょう。
ここでは、他の地盤調査方法について解説します。
ラムサウンディング試験
ラムサウンディング試験とはスウェーデンで開発された動的コーン貫入試験のことです。
主に貫入装置と引き抜き装置、油圧装置が別々のユニットで存在しているものを使用します。近年では別々のユニットを一体化させ、自動的に計測を行ってくれるオートマチックラムサウンディング試験もあります。
地盤に向けて連続して打撃貫入を行うことによって地盤の強さを計測していくのがポイントです。
ラムサウンディング試験は硬い層も貫入できるので、杭の支持層を確認するための補足調査として行われるのが一般的です。杭工事を行う際に適切な杭長なのか、過剰な杭長を設計していないか判断するのに役立ちます。
ボーリング調査
ボーリング調査とは、建物を建てる土地の地盤状況を調査したり、杭を打つときにどのくらいの深さまで根入れができるのか調べたりする際に行われる調査方法です。
地面に円筒形の穴を開けて、深さが1mに達するたびに標準貫入試験を行って土のサンプルを採取します。土のサンプルを調べて、現在掘り進めた部分の土質や強度が測定できるのが特徴です。
しっかりと時間をかけて地盤の状況を調査するので、建物を建てる際の指標として具体的な判断ができます。
ただし、ボーリング調査は1mごとに土のサンプルを採取して土質や強度を測定する関係上、費用も期間もかかりやすいデメリットがあることも理解しておきましょう。
平板載荷試験
平坂載荷試験とは、建物の基礎となる部分を設置する深さまで掘削し、基礎を想定した小さな鋼板を設置して実際の建物の重量を想定した荷重をかけてどのくらい沈んだのかを測定する試験方法です。
荷重をかけた際にどのくらい沈んだのかが重要な争点となるので、もしも圧倒的に沈んだことが分かった場合は地盤が弱いと判断できます。
一方で、荷重をかけてもあまり沈まなかった場合は、実際に建物を建てても地盤が固いので安全性が高いと判断することが可能です。
ただし、広い面積や深い地盤、土質などは調査できないため、大規模な建物を建設する際の地質調査には向いていません。
■表面波探査
表面波探査とは、バイブレーターなどを使うことで地表面に沿って伝搬した表面波を利用して地盤の状況を確かめる方法です。
深度方向に向けて人工的に実体波を伝搬させることで、表面波の速度構造が得られるため、地盤が柔らかいのか固いのかを測定することができます。
ただし、深い部分の調査精度が低いというデメリットがあるため、ビルやマンションなどの重い建物を建てる際の地質調査には向いていません。
スクリューウェイト貫入試験が必要なとき
スクリューウエイト貫入試験が必要なときは、基本的に一戸建てを建てるときです。
基本的に一戸建てを建てる計画を立てる場合、土地を先に見つけるのが一般的でしょう。土地がなければ理想的な家を建てることはできませんが、問題なのは土地の地盤です。
土地の地盤が固ければ問題ありませんが、地盤が弱いといかに理想的な一戸建てを建てることができたとしても、住宅の重さで家が傾いたりしてしまったり、地震で倒壊したりしてしまう可能性があります。
したがって、一戸建てを建てる前にスクリューウエイト貫入試験を行って地盤の状態を確かめることが重要です。
もしもスクリューウエイト貫入試験によって地盤が弱いことが判明した場合、場合によっては地盤改良を行う必要が出てきます。
スクリューウエイト貫入試験のメリット
スクリューウエイト貫入試験には多数のメリットがあります。
ここでは、スクリューウエイト貫入試験を行うメリットについてご説明します。
■汎用性が高く、すぐに試験が実施できる
スクリューウエイト貫入試験はさまざまな地盤調査方法の中でも特にシンプルな方法です。
作業者の負担も少ない上に、狭い土地でも問題なく地盤調査ができます。
基本的にロッドを地面に突き刺したときの状況によって地盤が弱いかどうかを判断するだけなので、住宅が密集しているような狭い土地でも負担をかけずに調査できることも特徴です。
■試験のデータをその場で事務所に送付できる
基本的にスクリューウエイト貫入試験は連続してデータの測定ができるだけでなく、測定したデータをその場でファイルに保存することができます。
状況次第では測定したデータをその場で事務所に転送することもできるため、データ管理がやりやすいのもポイントです。
また、測定したデータをすぐに解析することもできるため、調査報告にかかる時間も短縮できます。
■最短半日で調査が終わる
本格的な地盤調査方法ともなると調査に数日かかることも少なくありませんが、短期間で調査したいならスクリューウエイト貫入試験がおすすめです。
スクリューウエイト貫入試験は最短半日で調査が終わるのが大きなメリットで、サッと地盤の状態を確認したいときに行うことが多いでしょう。
ただし、最短半日というだけで、それ以上に早く調査を終わらせようとする業者には注意が必要です。いくら簡易的な調査方法とはいえ、そんなに早く調査を終わらせることはできません。
にもかかわらず数時間で調査を終わらせようとする場合、適当な調査を行って利益を得ようとしている可能性があります。
事前に短い調査時間を提示された場合は、悪質な業者かどうか疑うことが大切です。
まとめ
スクリューウエイト貫入試験はさまざまな地盤調査方法の中でも、特に簡易的に地盤の状況を調査できる方法です。
最短半日で調査できるので作業員の負担がかかりにくく、費用も安価に抑えられる上に住宅が密集している狭い土地でも調査できるのが強みです。
簡易的な方法ではありますが、すぐにでも地盤の状態を調査したいならスクリューウエイト貫入試験を検討してみてください。