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2024.03.04地質調査・ボーリング調査とは?費用相場も解説

家の購入を検討したことがある方は、地質調査・ボーリング調査というワードを聞いたことがあるのではないでしょうか?

しかし、具体的に何をしているのか、何が分かるのかを、理解している方は少ないと思います。

そこで本記事では地質調査・ボーリング調査とは何かについて詳しく紹介します。

①地質調査・ボーリング調査とは

地質調査およびボーリング調査は、地盤の状態を把握するために行われる重要な調査です。

この調査により、土壌や岩盤のサンプルを採取し、地質の状態を詳細に分析します。

ちなみに、ボーリング調査は地質調査の一種で、地面に細長い穴を開けていき、この過程で得られた試料を用いて地質の特性を特定します。

試料の試験方法としては、63.5kgの重りを76cmの高さから落下させて地盤の抵抗力を測定する標準貫入試験が行われることが一般的です。

ただし、標準貫入試験以外にも様々な試験手法があります。
孔内載荷試験、現場透水試験、PS検層・密度検層などです。

これらの試験は、調査対象の要件に応じて選択されると覚えておいてください。

なお、中規模から大規模な建築物を建設する際には、地質調査が不可欠です。

地盤の強度は建物の安全性に直結するため、十分な支持力がない場合は建設リスクが高まります。

このため、調査結果によっては建設計画の見直しが必要になるケースも少なくありません。

また、ボーリング調査では、地盤の液状化リスクも評価できます。

地震発生時の液状化は大きなリスクをもたらすため、この点の評価も建設計画において重要な要素です。

②地質調査・ボーリング調査が必要な時

地質調査・ボーリング調査が必要になるタイミングは以下のケースです。

● 新しく建物を建てる
● 既存の建物を建て替える
● 土木工事を行う時
● 土壌汚染を調べる時
● 液状化判定を行うため

それぞれについて詳しく解説します。

■新しく建物を建てる

新しい建物を建設する際、地質調査やボーリング調査の実施は非常に重要です。

建物が長期にわたって安全に機能するためには、その基礎となる地盤の強度が不可欠であり、この強度を正確に把握するためには専門的な調査が必要となります。

地盤の強度が建物の設計や安全性に直接影響を与えるため、どのような建築物を建てる場合でも、まずその地盤が建築に適しているかを確認することが必要です。

当然ですが、地盤の見た目だけでは、その下にある土壌の種類や岩盤の状態、地下水の位置など、建築に影響を与える様々な要因を正確に把握することはできません。

そのため、地質調査を行い、地面を深く掘り下げて土壌や岩石のサンプルを採取し、その特性を詳しく分析することが必須となります。

ちなみに、ボーリング調査では、地面に穴を開けて地下の土壌や岩石のサンプルを採取し、地盤の種類、密度、湿度、地下水位などを調べます。

これにより、地盤の安定性や建物の重量を支える能力、液状化のリスクなどが評価されるのです。

また、地盤の改良が必要かどうか、どのような基礎工事が適切かといった建築計画に不可欠な情報も得られます。

こういった地質調査およびボーリング調査の結果に基づき、建築物が安全に建設できる地盤であることが確認できれば、設計に基づいた建築工事を進めることが可能です。

これらの調査は、建物の設計段階で不測の事態に備えるため、また長期的な安全性と耐久性を確保するために不可欠な調査と言えるでしょう。

■既存の建物を建て替える

既存の建物を建て替えるプロセスでは、地質調査の実施が不可欠です。

たとえその場所に以前から建物が存在していたとしても、その土地の地盤が将来にわたって安全であるという保証はありません。

これまでに地盤に関する問題が顕在化していなかった場合でも、地盤が強固である証明にはならないため、慎重な検討が求められます。

地盤調査は、既存の建物が建てられた時点から時間が経過し、地盤の状態が変化している可能性があることを考慮に入れて行われます。

自然災害、周辺での開発活動、地下水位の変動など、多くの外部要因が地盤の安定性に影響を与える可能性があるためです。

また、新たに建設される建物が既存のものと異なる設計や重量である場合、それまで問題がなかった地盤でも、新しい建物の要求に対して不十分な可能性もあります。

このため、既存の建物を建て替える際に地質調査を実施することは、新しい建物の安全性と耐久性を確保する上で極めて重要です。

■土木工事を行う時

土木工事プロジェクトにおいて、前もって行う調査はプロジェクトの成功に不可欠です。

特に、トンネル工事のような複雑で技術的な挑戦を伴うプロジェクトでは、安全な作業環境の確保と効率的な作業進行のために、詳細な地質調査が求められます。

調査によって、掘削予定地の岩石の種類、地層の厚さ、地下水の存在や流れの方向、さらには断層や空洞の有無など、トンネル建設に影響を与える可能性のある要素を把握することが可能です。

これらの情報は、トンネルの設計段階での安全対策の計画、掘削方法の選択、さらには工事費用の見積もりに直接的な影響を与えます。

このように、土木工事では、地質調査を通じて得られたデータを基に、工事計画を策定し、予期せぬ問題に対処することが重要です。

■土壌汚染を調べる時

土壌汚染を調査するためにボーリング調査が実施されるケースもあります。

地盤から採取した試料を調べて有害物質の有無がわかるためです。

土地の売買の場合、地盤に有害物質が見つかると、不動産の売主には瑕疵責任が問われます。

そのため、土壌汚染の調査が義務づけられていない土地であっても、自主的に土壌汚染を調査するケースは少なくありません。

■液状化判定を行うため

地盤に液状化のリスクが存在するかを確認するためには、ボーリング調査が重要な役割を果たします。

この調査を通じて、地盤の状態を詳細に分析し、液状化の可能性を評価することが可能です。

液状化現象は、地震などの揺れによって地盤が液体のような状態になる現象のことで、建物の安定性を著しく損なう恐れがあるため、そのリスクを事前に把握し、必要に応じて地盤改良を行う必要があります。

液状化が発生すると、建物が傾斜したり、最悪の場合は地面に沈み込んだりすることがあり、回復までには膨大な時間と費用が必要です。

そのため、液状化リスクが高い地域では、ボーリングが不可欠だと言えます。

③地質調査・ボーリング調査で分かること

地質調査やボーリング調査を通じて得られる主要な情報は、標高、地盤の強度、そして地下水位の3つです。それぞれ解説しましょう。

標高:地面の下にある異なる地層が変わる点、つまり地層が硬くなったり柔らかくなったりする境界の深さを意味します。
地盤の強度:地盤がどれほどの力を持っているか、つまりどれだけの重さに耐えられるかを示します。これは、ボーリング調査時に行われる標準貫入試験によって測定されるN値で判断されます。
N値が高いほど、地盤は強いとされます。
地下水位:掘られた孔内での水面の高さを指し、これによって地下水の存在深さが分かりますが、季節や雨量によって変動することがあります。

これらの調査結果をもとに、地盤が建設プロジェクトに適しているかどうか、もし必要ならどのような地盤改良が適切かを判断します。

また、土の種類や色、その他の特性も調査によって明らかになり、地盤の全体的な理解を深めることが可能です。

④地質調査・ボーリング調査の費用相場

地質調査・ボーリング調査を行うための費用は状況によって大きく異なります。

調査の対象となる地盤の状態や深さ、範囲などで作業の難しさが変わるためです。

とはいえ、戸建住宅を建てる場合の調査については数十万円程度が相場とされています。

ただし、マンションなど大規模な建築物を建てるための調査は、より多くの本数のボーリングを用いて、より深く調査する必要があるため戸建てよりも高額です。

また、他にも傾斜地で調査が実施される場合も、費用は高くなります。

このように、調査の対象となる地盤の状態や深さ、範囲などで費用が大きく変動するため、しっかりと地質調査会社から見積もりを取るようにしましょう。

なお、ボーリング調査にかかる期間は、一般的には1日から数日程度です。
しかし、期間も土地が広く地盤が硬い場合には、時間が長くかかることも覚えておきましょう。

また、調査によって地盤の改良工事が必要になると工事費用を負担しなければいけません。

そのままの状態では建築物を建てることができないからです。

改良工事を行うための費用は土地の広さなどによって異なりますが、一般的な住宅だと50万~100万円程度かかることも理解しておきましょう。

まとめ

地質調査およびボーリング調査は建物を安全に建てられる地盤かどうかを調べるために必要な調査です。

具体的には、ボーリング孔をあけて試料を採取し、その強度を確認します。

その際、調査によって地盤に問題があるとわかった場合は、地盤改良の工事をしなければいけません。
地盤改良の工事は相応な費用が必要となるため、事前の地質調査が非常に重要です。

地質調査・ボーリング調査の依頼を検討している方は、本記事の内容を参考にしてください。