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2024.03.04地質調査技士とはどんな資格?概要や合格率を解説

地質調査技士は、ボーリング技術者や地質調査に関わる現場技術者の知識等を証明する資格です。

建設業において、ボーリングや地質調査は欠かせない資格であり、有資格者になれば、収入アップや昇進などにも有利になります。

本記事では、地質調査技士の概要や資格取得の方法、合格率、試験内容などを紹介します。

地質調査技士の資格の取得を検討しているなら本記事を参考にしてください。

地質調査技士とは?



ボーリングや地質調査は土木工事、建築工事には欠かせないものであるため、必然的に地質調査技士も欠かせません。

ここでは、それだけ重要なポジションにある地質調査技士の仕事内容や種類を紹介します。

目指している方はぜひ参考にしてください。

■地質調査技士の概要

地質調査技士とは、ボーリング技術者や地質調査に関わる現場技術者の技術や知識を客観的に証明する国土交通省登録資格です。 1966年にボーリング技術者のための試験として制定されましたが、現在は地質調査の技術や知識を評価・証明する資格としても活用されています。 近年、地震災害や豪雨災害が多発して、建築工事や土木工事における地質調査の重要性が増したため、資格の重要性も増し続けています。 資格制定から現在まで2万人以上の有資格者が誕生し、現在も約1万3000人の有資格者が登録継続中です。 <h3>地質調査技士の業務内容 地質調査技士の業務内容は以下のようなものが挙げられます。

● 建築や土木工事に関する地質調査計画の作成・土質判定・柱状図、断面図作成
● 報告書の作成・取りまとめ
● 地質調査における成果品の取りまとめ・管理
● ボーリング調査の現場監督・業務責任者としての役割
● ボーリングマシンの操作

地質調査技士は単にボーリング調査などで地質を調査するだけでなく、地震や地滑りなどの災害を防ぐための計画作成や防災施設の維持管理などの業務も仕事です。

また、近年は、防災だけでなく環境保護の観点から地質調査を行ない、環境を保護しながら工事を完成させるための工程管理や安全管理も重要な仕事となっています。

なお、地質調査は以下の3分野に分類されます。

● 学術的分野:地球科学の一分野、活断層の調査もここに分類される。
● 資源開発分野:鉱物資源や地熱など地下資源開発のための地質調査をする分野。日本ではあまり実施されていないが、ボーリング技術はこの分野で開発、進化してきた。
● 建設事業分野:建設作業のために実施する地質調査。地質調査事業量の9割以上がこの分野でおこなわれている。

一口に地質調査と言っても、目的は複数あることを覚えておきましょう。

■地質調査技士の種類

地質調査技士には、「現場調査部門」と「現場技術・管理部門」の2種類があります。

かつては、「土壌・地下水汚染部門」もありましたが、2021年に休止されました。

「現場調査部門」と「現場技術・管理部門」のそれぞれの特徴は以下のとおりです。


現場調査部門 ・ボーリングに関する機器の操作を実施する方が対象
・地質学、土木工学、環境科学などの知識のほか、ボーリング機器の
 操作を行った実務経験が求められる
・地質調査の知識や技術の他、土壌の安定性や状態を評価する能力が必要
現場技術・管理部門 ・地質調査の現場を管理する業務・土質試験・測量業務などを実施する方が対象
・3年~8年の実務経験がないと受験資格がない
・取得すれば現場技術や管理の知識を評価される
ちなみに、受験する部門は自分で選択することが可能です。

地質調査技士の試験内容・受験資格・合格難易度を解説

地質調査技士の資格は、年1回実施される資格試験を受けて合格すれば取得できます。

ここでは、地質調査技士の試験内容や受験資格、合格率などを紹介します。

■地質調査技士の試験内容

地質調査技士の試験は現場調査部門が筆記試験、現場調査部門が筆記試験と口頭試験が実施されます。

筆記試験の内容は四肢択一式の問題が80問~100問、記述式の問題が1~2問です。

現場調査部門は筆記時間が3時間行われた後、口頭試験が行われます。

現場調査部門は筆記試験が5時間です。

筆記試験と口頭試験は同日に行われるので注意してください。

なお、中央工学校(土木建設科環境地盤専攻)を卒業しており、ボーリングに関する機器操作の実務経験が2年以上ある方は、10年以内に地質調査技士の現場調査部門を受験する場合、筆記試験と口頭試験が免除され、書類審査のみで資格取得が可能です。

■地質調査技士の試験日程と試験会場

地質調査技士の試験日程と試験会場などを以下の表にまとめました。

項目 内容
試験実施月 毎年7月
願書受付期間 4月上旬〜5月上旬の約1か月
試験会場 札幌、仙台、新潟、東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、沖縄の全国10箇所
受験会場に関する注意 受験会場が遠方の場合は前日に宿を確保しておく等の対処が必要
受験料 18,480円 (税込)
合格発表 9月上旬
合格後の登録手数料 13,200円(税込)
地質調査技士の試験を受ける際は上記を参考にしてみてください。

■地質調査技士の受験資格

地質調査技士の受験資格は、以下のとおりです。

現場調査部門
● ボーリングに関する機器等の操作を行う実務に5年以上の経験
※ 学歴は不問
● 中央工学校(土木建設科環境地盤専攻)を卒業して、2年以上ボーリングに関する機械操作の実績がある者
※書類審査のみで合否決定

・現場技術・管理部門

現場技術・管理部門の受験資格は、地質調査を目的とした調査・計測業務、現場技術管理
業務等で、以下のような年数の実務経験が必要です。
学歴 土木工学(農業・森林・海洋の土木を含む)、建築学、鉱山学、地質工学等を卒業した

専門課程以外の理系学科を卒業した

理系以外の学部を卒業した

大学

高等専門学校

専修学校

※高専・専修学校は専門課程を卒業した場合
3年 5年 6年

短期大学

高等専門学校

専修学校

※専門課程以外
5年 7年 8年
その他 8年 8年 8年
現場技術・管理部門のほうが、実務経験が必要な期間が長めです。

なお、実務経験をいつ行ったかは問われません。

■地質調査技士の合格難易度

地質調査技士の合格基準は現場調査部門が65%、現場技術・管理部門は70%以上の得点とされています。

科目合格などはありませんが、極端に分野ごとに点数の偏りがあると不合格になる可能性もあります。

それをふまえて、合格率は2021年~2023年まで現場調査部門が40%前後、現場技術・管理部門が30~32%前後です。

実務経験が受験資格としてさだめられている試験で合格率が30~40%というのは、高めの難易度と言えるでしょう。

つまり、一朝一夕の勉強で合格できる試験ではありません。

資格取得を目指す方は、計画を立てて勉強していく必要があります。

地質調査技士試験に合格するための勉強法

地質調査技士は受験資格に実務経験がさだめられているため、多くの方が仕事と勉強を両立して資格試験に臨みます。

学生の頃のように受験勉強だけに集中できる時間は限られているので、効率的に勉強することが必要です。

ここでは、試験に合格するための勉強方法について解説します。

■地質調査技士試験に合格するために必要な勉強時間

一般的には、合格に向けて数百時間の勉強が必要と言われています。

例えば、試験日の6ヶ月前から準備を始め、週に15~20時間を学習に充てる受験生も多いです

ただし、これはあくまで一例であり、個人の状況に応じて必要な勉強時間は前後します。

自身の知識レベルや学習速度を考慮して、合格に必要な時間を見積もることが大切です。

なお、地質調査技士は、メジャーな資格のように通信教材などがありません。

したがって、自分の勉強スタイルを早めに確立することが重要です。

■地質調査技士試験の勉強方法

地質調査技士試験は、四肢択一式の過去問が公開されています。

記述式問題は公開されていませんが、模擬問題を解くだけでも勉強になります。

このため、地質調査技士の試験勉強は、参考書を読んで過去問を解く形が基本です。

地質調査技士の試験は四肢択一式の問題だけでも80問~100問あるので、正解率が高いほど合格する可能性が高まります。

仕事が忙しく、まとまった勉強時間が取れない場合は通勤時間などの隙間時間を利用しましょう。

■事前講習会を利用する

地質調査技士試験の事前講習会が、6月に試験が行われる全国10箇所で開催されます。

独学に自信がない方や、独学で勉強してきたが分からないところがある場合は利用してみてもいいでしょう。

また、地質調査技士の合格体験記などをブログで公開している方もいます。

勉強方法などの参考になる場合もあるので、チェックしてみてください。

まとめ


本記事では、地質調査技士の概要や試験内容、受験資格、合格難易度などを紹介しました。

地質調査技士は建築関係の資格の中では、どちらかといえばマイナーです。

しかし、地質調査やボーリングに関する機器を操作する仕事を長年続けていくならば、取得しておいて損はありません。

受験資格を得るにも一定の期間が必要で合格難易度も高めですが、チャンスがあるならばぜひ挑戦してみてください。