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2024.05.02地盤調査のプロが教える!ボーリングとサウンディングの違い

地盤沈下や建物傾斜といったリスクを回避するためにも、建物を建てる前には地盤調査を行わなければなりません。
この記事では地盤調査の概要や必要性、さらには地盤調査の調査方法であるボーリング調査とスウェーデン式サウンディング試験の概要やメリット・デメリット、違いなどについて解説しています。
同じ地盤調査でも、調査方法が違うとコストや調査にかかる時間が異なるため注意しなければなりません。
また、調査ができる地盤の種類にも違いがあるため、今回の記事を参考にボーリング調査とスウェーデン式サウンディング試験の違いを理解しておきましょう。

地質調査とは

地盤調査とは、建物を建てるに当たって地盤の状態をチェックするために行う調査のことです。
調査をせずに建物を建てると、実際には土地の地盤が弱く、地盤沈下や建物傾斜の恐れといったリスクを伴うこととなります。
このようなリスクを回避し、安全性を確保したうえで建物を建てるためにも地盤調査を通して地盤の状況を確認しておくことが大切です。
もう少し詳しく説明すると、建物を建てる前には、建物の加重や地震の影響に耐える力を計算する構造計算が行われます。
この構造計算を行うに当たり、地盤の状況を把握していなければならないため、地盤調査が必要不可欠というわけです。
ちなみに地盤調査は建物を新たに建てる場合のみならず、建て替える際にも必要となります。
なぜなら、同じ場所に建て替えをするとしても、敷地全体の地盤が安定しているとは限らず、建て替える建物の形状や建てる場所によっては地盤の安定度も異なるためです。
また、地盤調査の結果、地盤が安定していないことがわかれば、地盤改良工事を行うことで建物に耐えられる地盤にできます。
建物の安心・安全の大前提となるのが地盤調査だといえるでしょう。

ボーリング調査の概要

ここでは、ボーリング調査の概要について解説します。
どういった調査なのか、その概要を押さえておきましょう。

ボーリング調査とは

ボーリング調査とは、地面に穴を掘って地盤の強さを確認する調査方法です。
主な特徴としては、1m掘り進むたびに「標準貫入試験」と呼ばれる地盤の強さを確認する試験を行う点が挙げられます。
この試験を行うことでN値という地盤の強さを示す値を把握し、さらに土そのものを採取できるため、土の性質を詳しく調べることが可能です。
この調査方法は、主に中規模から大規模の建築物や道路、法面、擁壁などの施工において行われるケースが多くなっています。
また、液状化を判定する際にも用いられている点が特徴です。

ボーリング調査のメリット・デメリット

ボーリング調査のメリットは、調査の精度が高い点です。
これは後述するスウェーデン式サウンディング試験よりも高いとされています。
また、小規模から大規模まで幅広い建築物の地盤調査で用いることが可能です。
一方のデメリットとしては、工期が長い点が挙げられます。
調査にあたっては、やぐら作りに始まり、各工程で細かい作業が発生するため、時間がかかってしまう点に注意してください。
また、調査にあたっては重機を使用するケースが多いため、どうしてもコストが高くなってしまいます。

スウェーデン式サウンディング試験の概要

ここではスウェーデン式サウンディング試験の概要やメリット・デメリットについて解説します。
こちらも地盤調査を行う際に用いられる方法ですが、ボーリング調査とは異なるものです。
どういった特徴を持っているのかぜひチェックしてみてください。

スウェーデン式サウンディング試験とは

スウェーデン式サウンディング試験とは、ロッドの先端にスクリューポイントというドリル状の部品を取り付けた鉄の棒を地盤に貫入させたうえで、その際に要する荷重や回転数から抵抗値を測定するという調査方法です。
例えば抵抗が少なく、ロッドが深く沈む場合は地盤が弱く、抵抗が大きくて沈みにくい場合は地盤が強いということになります。
こちらの方法は、主に戸建て住宅を建てる際の地盤調査に用いられています。
土の採取をしないため、調査の手間もかかりません。
また、調査期間も短いことからコストも抑えられます。
ただし、この調査方法は、摩擦の補正をしないことから10mを超える深さの調査には適していません。
ちなみに、このスウェーデン式サウンディング試験の名称は、1917年にスウェーデンの国有鉄道が路盤調査を行う際に用いた方法であることに由来しています。
日本では1950年代頃から普及し始めました。

スウェーデン式サウンディング試験のメリット・デメリット

1番のメリットは、先ほども説明しているように、調査期間が短い点です。
また、期間が短いためにコストも抑えられます。
さらに、敷地が狭い土地の調査にも用いることができる点も特徴だといえるでしょう。
一方のデメリットとしては、調査の精度が低い点が挙げられます。
10m以上の調査には適していないため、より深い地点まで調査したい場合は他の方法を選ばなければなりません。
そのほかにも、土質は概略しか把握できず、地盤改良をする際に、固形剤の種類や量を変更したほうがいいのかどうかといったことは判断できないため注意してください。

ボーリング調査とスウェーデン式サウンディング試験の違い

ここでは2つの調査方法の主な違いを紹介します。
どちらも土壌調査であることに違いはありませんが、できることや調査できる地盤や深さなどに違いがあるため注意しなければなりません。
ここまで説明したポイントをまとめているため、ザッと違いをチェックしたい方はぜひここだけても読んでみてください。

液状化判定の可否

ボーリング調査は、地下水位も調査できるため、その土地で将来的に液状化が発生する恐れがあるかどうかを調べることができます。
一方のスウェーデン式サウンディング試験では、土のサンプルを採取しないため、液状化のリスクを把握することはできません。
中規模〜大規模の建物では地下深いところまで基礎を貫通させるため、液状化のリスクを把握しておく必要があります。
そういった点から、規模の大きい建物の建築現場ではボーリング調査が採用されているといえるでしょう。

調査できる地盤

2つの調査方法では調査できる地盤も異なります。
例えば、スウェーデン式サウンディング試験の場合、土屋砂、砂利などから構成される地盤の調査はできますが、大きな石などの障害物があると調査はできません。
また、砂礫層などの固い地盤も対象外となります。
一方のボーリング調査の場合、重機を使って掘り進めて行くため、大きな石や岩などの障害物が出てきても削りながらの調査が可能です。
そのため、地盤の種類による制限はほとんどないと言えるでしょう。

調査できる深度

先ほども説明しているように、スウェーデン式サウンディング試験では、10m以上の深さを調査することはできません。
これは調査の際に地盤に貫入するロッドと地盤の間に摩擦が生じることで10m以上の深さでは調査の精度が落ちてしまうためです。
一方で、ボーリング調査では、空間を確保することでロッドと地盤の間に摩擦が生じない構造となっているため、摩擦を考慮する必要がありません。
そのため、10m以上の深さでも調査ができます。

調査費用・期間

ボーリング調査は銃器などを使用する影響もあって調査費用が高くなる傾向にあります。
一方のスウェーデン式サウンディング試験は簡易的な調査のため費用は安価です。
調査する地盤の種類にもよりますが、スウェーデン式サウンディング試験であればボーリング調査の
4分の1程度の費用に抑えられるでしょう。
また、調査の規模が小さいことからスウェーデン式サウンディング試験の方が調査期間は圧倒的に短いとされています。
スウェーデン式サウンディング試験なら全ての調査が半日程度で終了するのに対して、ボーリング調査は数日から数週間程度かかるため、時間には余裕を持っておかなければなりません。

まとめ

今回は、地盤調査の概要や必要性、さらには地盤調査の方法であるボーリング調査やスウェーデン式サウンディング試験の概要、メリット・デメリット、違いなどについて解説しました。
不安定な地盤の上に建物を建てると、地盤沈下や建物傾斜の恐れがあるため、地盤調査を行い地盤が安定しているかどうかを確認しなければなりません。
地盤調査の方法にはいくつかの種類がありますが、代表的なのがボーリング調査です。
こちらの方法は調査の精度が高く、中規模〜大規模の建物の地盤調査を行う際に用いられます。
一方の地盤沈下や建物傾斜の恐れは簡易的な調査であるためコストを抑えられ、主に戸建て住宅の地盤調査をする際に用いられる点が特徴です。